上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)では、内視鏡を口から挿入し、食道、胃、十二指腸を観察します。
消化管内部を詳細に観察して診断を行うほか、様々な医療器具を挿入し、病変部を採取・切除するなど、処置や治療も行う場合があります。内視鏡による検査は、診断だけでなく、今後の治療方針を決定する上でも必要な検査となっています。また、必要に応じて組織の一部を採取(生検)して、組織学検査を行うことがあります。組織を採取した場合には、検査後の食事に制限がかります。
【鎮静剤、鎮痛剤で楽に受けられる胃カメラ】
安全で苦痛のない検査・治療のため、当院では静脈麻酔による鎮痛剤、鎮静剤(ボーっとして楽でありながら、完全には意識がなくならないレベル)での内視鏡検査・治療に対応しています。
検査中は指先にセンサーを装着して血中酸素飽和度と脈拍数をモニターしておりますので、安全性もしっかりと確保しながらの検査を行うことが可能となっております。
鎮静下での内視鏡検査の際には、鎮静導入から内視鏡検査、リカバリー(鎮静からの覚醒)に至るまで車椅子での移動を行いますので、ご自身で移動して頂く必要がなく、当院スタッフによる車椅子移送による部屋移動が可能となっております。鎮静での検査を行った際は、当日自転車および自動車・バイクの運転はできません。
お車でのご来院をご希望される方や、忙しくて在院時間を短くしたい方には、鎮静剤を使用しない方法での検査も行うことができます。逆に内視鏡検査に強い不安をお持ちの方などでは、鎮静剤の量を増やすなどの対応も可能です。
他院での内視鏡検査・治療が苦痛だったという方も、ぜひ一度当院へご相談ください。
上部消化管内視鏡検査の偶発症(ぐうはつしょう)としてまれに、消化管出血、穿孔(せんこう:穴が空くこと)などが生じることがあります。入院や緊急の処置・手術が必要となることがあります。出血、穿孔などの発生頻度は全国集計で0.012%と報告されています。
日本消化器内視鏡学会「3.1)上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸内視鏡)と治療」から引用
下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡)では、直径約1cmの内視鏡を肛門から挿入し、主に大腸の内側を観察します。
消化管内部を詳細に観察して診断を行うほか、様々な医療器具を挿入し、病変部を採取・切除するなど、処置や治療も行う場合があります。内視鏡による検査は、「がんか、がんではないのか」の判定だけでなく、がんだった場合には、その深さやひろがりを診断し、治療方針を決めることに役立ちます。
内視鏡を用いた治療としては、消化管では、ポリープや早期がんの切除を行っています。外科手術と比べて、患者さんの体への負担が非常に軽く、なおかつ根治を目指す治療を行うこともできます。
在宅法の場合
入院法の場合
関東労災病院で使用している下部消化管内視鏡スコープ
オリンパス株式会社(外部サイトへリンクします)
【鎮静剤、鎮痛剤で楽に受けられる大腸カメラ】
安全で苦痛のない検査・治療のため、当院では静脈麻酔による鎮痛剤、鎮静剤(ボーっとして楽でありながら、完全には意識がなくならないレベル)での内視鏡検査・治療に対応しています。
検査中は指先にセンサーを装着して血中酸素飽和度と脈拍数をモニターしておりますので、安全性もしっかりと確保しながらの検査を行うことが可能となっております。
鎮静下での内視鏡検査の際には、鎮静導入から内視鏡検査、リカバリー(鎮静からの覚醒)に至るまで車椅子での移動を行いますので、患者さんにはご自身で移動して頂く必要がなく、当院スタッフによる車椅子移送による部屋移動が可能となっております。鎮静での検査を行った後は、翌朝まではお車を運転して頂くことはできません。
お車でのご来院をご希望される方や、忙しくて在院時間を短くしたい方には、鎮静剤を使用しない方法での検査も行うことができます。逆に内視鏡検査に強い不安をお持ちの方などでは、鎮静剤の量を増やすなどの対応も可能です。
他院での内視鏡検査・治療が苦痛だったという方も、ぜひ一度当院へご相談ください。
【大腸カメラからそのまま行えるポリープ切除】
当院では、大腸カメラで切除対象のポリープが見つかった際に、そのまま大腸ポリープ切除に切り替えて日帰りでの切除を行うことが可能となっております。
コールドスネアポリペクトミー(CSP)
合併症の非常に少ない優れた治療法であることから、近年大腸ポリープの外来切除法として急速に施行件数が増えてきています。当院ではこのコールドスネアポリペクトミーを主体としたポリープ切除を行っています。
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1:ポリープを見つけます。 | 2:狭帯域光画像併用拡大観察で詳細に観察します。 | |
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3:病変をスネアに通します。 | 4:周囲の正常粘膜をしっかり入れながら、病変を絞扼していき... | |
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5:切除します。切除検体は吸引回収し病理検査を行います。 | 6:切除後に洗浄・観察して、病変の遺残ががないことを確認します。 |
注:その場で切除出来ないと判断した際には、日を改めて入院での切除を行います。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
外来にて切除することの出来ない、比較的大きめの大腸ポリープや平坦な病変などの切除の際に行います。
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1:ポリープを見つけ、NBI併用拡大観察をした後、 | 2:ポリープ直下の粘膜下層に局注液を注入し盛り上げます。 | |
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3:ポリープをスネアに通し、周囲の正常粘膜を入れて病変を絞扼 | 4:電気を流してして切除します。 | |
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5:切除面をクリップで縫合閉鎖し、回収した検体の病理検査に提出します |
ごくまれに出血や穿孔などの偶発症を起すことがあります。また、下剤のために腹痛や出血、穿孔を起こすこともあります。出血がみられたり、腹痛を認めましたら、すぐに関東労災病院内視鏡センターにまでご連絡ください。入院や緊急の処置・手術が必要になることがあります。なお、大腸内視鏡検査および治療に伴う偶発症発生頻度は全国集計(2008年から2012年の5年間)で0.011%(9,091人に1名の割合)でした。
日本消化器内視鏡学会「3.2) 大腸内視鏡検査と治療」から引用
内視鏡を使った治療法には、スネアと呼ばれる金属の輪を病変部に引っ掛け、高周波電流を流して切り取る方法(内視鏡的粘膜切除術;Endoscopic mucosal resection:EMR)や、専用の処置具を使ってより大きな病変を剥がす内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic submucosal dissection: ESD)などがあります。
EMRは治療が比較的短時間ですみますが、小さな病変でも1回の切除で取りきれない場合があり、治療後の再発の頻度が5%程度認められます。
入院期間は大腸では1泊2日、胃では3泊4日で行っています。
ESDは2cmを超える大きな病変でも、病変を分割することなく一括で切除するために開発された治療法です。専用のナイフを用いて病変の端から少しずつ確実に剥離して一括切除します。一括切除することで病変の正確な評価が可能となり、癌が取りきれたか、どこまで深く浸潤しているかなどを判定し再発リスクや追加治療の必要性が適切に判断出来ます。
1回の切除で完全な切除ができますので、治療後の再発はほとんどありません。
ESDの入院期間は病変の大きさや手術時の状況にもよりますが概ね7-9日で行っています。
数年前まで小腸の内部を直接観察することは困難であり、小腸疾患が疑われても容易には診断を下せないケースが多くありました。ところが最近では内視鏡技術の進歩によって全小腸内視鏡観察が可能となり、今後は小腸内視鏡検査の必要性が増々高くなっていくと考えられます。
![]() シングルバルーン式小腸内視鏡 |
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(画像提供:オリンパス株式会社) |
![]() カプセル内視鏡 |
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(画像提供:コヴィディエンジャパン株式会社) |
![]() 受信アンテナとデータレコーダー |
![]() カプセル内視鏡が撮影した画像 |
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(画像提供:コヴィディエンジャパン株式会社) |
![]() 画像提供:オリンパス株式会社 |
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![]() 画像提供:オリンパス株式会社 |
![]() 画像提供:ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社 |
![]() 画像提供:オリンパス株式会社 |
![]() 画像提供:Cookメディカル |
![]() 画像提供:オリンパス株式会社 |
ERGBD(画像提供:ガデリウス・メディカル株式会社)
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![]() EUS-経胃ドレナージ (画像提供:ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社) |
![]() EUS-HGS(画像提供:ガデリウス・メディカル株式会社) |
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画像提供:ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社 |
ESWL装置(画像提供:すみれ医療株式会社)
急性肝炎やB型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎および肝硬変症の診断と治療、肝癌へと進展するのを少しでも抑えるように治療を行なっています。
B型肝炎に対しては、エンテカビルに加えて、2017年にはテノホビル アラフェナミドフマル酸塩(TAF)が保険適用となりました。これらの核酸アナログ製剤によりほとんどのB型肝炎患者さんでウイルス制御が可能となりました。
C型肝炎に対しては直接型抗ウイルス(DAA)製剤が投与可能となり、目覚ましい進歩を遂げました。現在はグレカプレビル、ピブレンタスビル療法により慢性肝炎患者さんにおいては8週でウイルス排除が可能となりました。さらにソホスブビル、ベルパタスビル配合剤が非代償性肝硬変に保険適用となりました。
画像診断に基づいた的確な診断を行うとともに、治療としてラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓術(TACE)、抗癌剤治療(分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬も含む)および手術を含めた集学的な治療を積極的に行っています。
特にRFAは2000例以上の経験があり、他施設で治療困難な症例でも良好な局所制御が得られています。RFAとは、がんの中に直径1.5mmほどの電極針を刺し、電極周囲をラジオ波により誘電加熱することで、癌を壊死させる治療法です。当院では治療前には腫瘍の大きさや個数のみならず、腫瘍の肉眼型にも留意して慎重に治療導入を決定しています。ソナゾイド造影超音波を併用することにより腫瘍同定の精度を上げ、治療効果の向上を図っています。
arfaジェネレータ(画像提供:日本ライフライン)
最近はB型肝炎・C型肝炎以外の肝癌が増加し、特にアルコールや非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)などの脂肪性肝疾患が主要な原因となっています。当院では非アルコール性脂肪性肝炎の超音波(肝硬度や超音波減衰度測定)検査と肝生検による診断に積極的に取り組んでいます。
超音波診断装置(画像提供:キャノンメディカルシステムズ)
自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎などの治療も行っています。
交通アクセス
最寄駅
武蔵小杉駅 徒歩14分
住所
〒211-8510 神奈川県川崎市中原区木月住吉町1-1
バス
JR横須賀線 武蔵小杉駅から約10分
JR川崎駅から約30分
JR新川崎駅から約20分
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