関東労災病院　病院の話「脂肪腫 (しぼうしゅ)」

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健康コラム

脂肪腫 (しぼうしゅ)

関東労災病院 形成外科医師より

脂肪腫は、いわゆる「脂肪のかたまり」で皮下に発生する軟部組織腫瘍の中では最も多くみられる良性の腫瘍です。粉瘤（アテローム）と混同されることもありますが、粉瘤のように皮膚に小さな孔が開いていたり、感染や炎症を起こしたり臭いを放つことはありません。

脂肪腫は身体のどこにでも発生しますが、背部、肩、頸部、四肢に多くみられ、やわらかいしこりとして触れます。大きさは数mmから10cm以上まで様々で、通常しこり以外に痛みなどの自覚症状は無いため、大きくなってから気付いたり他人に指摘されて受診される患者さんが多いです。一度できた脂肪腫は自然消退せず、ゆっくりと増大します。まれに悪性の腫瘍（脂肪肉腫）があるため数ヶ月単位で急激に増大する場合には受診をお勧めします。

検査は超音波検査とCT検査を行い、腫瘍の大きさと局在（筋肉との位置関係）を評価します。悪性が疑われる場合や整容的に取りたい場合には手術を行います。当科では5cm以上の大きい脂肪腫、筋肉内や筋肉とべったりくっついている脂肪腫であれば入院で全身麻酔下の手術をお勧めしています。小さい腫瘍であれば日帰りで局所麻酔下の手術が可能ですが、術後の外来通院が必要です。手術は皮膚を切開して脂肪腫を摘出し、血液・滲出液を排出するためのドレーンという管を入れて縫合します。ドレーンは経過を見て翌日以降に抜去し、抜糸は術後1-2週間を目安に外来で行います。摘出した脂肪腫を病理検査（顕微鏡検査）に提出し確定診断に至ります。
脂肪腫はきれいに摘出できれば再発は稀ですが、筋肉内脂肪腫は再発することがあります。また、複数箇所に多発する人もいます。

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