アキレス腱断裂は、主にスポーツ活動で起こり、ジャンプ、ダッシュ、ターンなどの動作によってアキレス腱に強いストレスが加わることで起こります。
断裂の瞬間は「ボールが当たった」「後ろから蹴られた」ように感じ、痛みが生じます。
アキレス腱断裂の治療には、手術をする手術療法と手術をしない保存療法があります。
このうち、後者の保存療法では長期の固定や免荷(体重をかけられない状態の事)を必要とすることが多く、筋力や関節の可動域の回復が遅くなりやすいです。
このため、できるだけ早くスポーツ復帰するために、当院スポーツ整形外科では、筋力の低下、可動域制限(関節が硬くなること)、痛みなどの二次的障害の少ない手術療法を第一に選択しています。
ここでは、当院スポーツ整形外科におけるアキレス腱断裂の治療の手術療法を中心に説明します。
手術後のリハビリテーションでは、縫合したアキレス腱の強度を保ちながら筋肉の萎縮、筋力低下、可動域制限を最小限にし、より早く、より確実に日常生活、スポーツ活動に復帰することが重要です。
当院スポーツ整形外科では前述のように非常に強度の高いアキレス腱縫合を行っているため、従来よりも早いリハビリテーションプログラムを施行することが可能になっています。
その結果、筋力低下や可動域制限は最小限に抑えることができ、早い時期に歩行、ジョギングが行えるようになり、良好な成績を治めています。
以下の表に、手術後の具体的なプログラムの例を示します。
手術の内容によっては異なるプログラムになる場合もございます。
当院で提供しているスポーツ・リハビリテーションの詳細は、リハビリテーション科の「スポーツ疾患のリハビリテーションのページ」でもご紹介しています。
| 手術当日 |
シーネ(添木、副木)で足関節を固定します。 |
|---|---|
| 術後翌日 |
足のゆびの運動や足関節の運動、マッサージを開始します。 |
| 4日後 |
装具もしくはギプスにヒールを付けたもので歩行練習を始めます。 この時点で体重をかけることが可能になります。 屋外では松葉杖を4週間使用します。 歩行が安定したら退院となります。
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| 1~2週間後 |
ふくらはぎの筋肉(アキレス腱と直接つながっている筋肉)を鍛え始めます。 |
| 5~6週間後 |
エアロバイク(固定自転車)を開始できます。
背伸びの練習を始めます。 裸足での歩行練習を行います。 |
| 8~9週間後 |
装具を外すことができます。 片足での背伸びの練習を始めます。 |
| 10~12週間後 |
ジョギングや縄跳びを始めます。
|
| 4ヶ月後 |
片足ジャンプやステップ動作を行い、徐々にスポーツ復帰していきます。 |
| 5ヶ月後 |
元のスポーツに完全復帰する事ができます。
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このプログラムを簡単に説明すると、手術後早期から足首を動かし始め、体重をかける練習を始めます。 また、筋力トレーニングを時期・状態に合わせて開始し、両足・片足の背伸びができるように練習していきます。そして、片足での背伸びが可能になれば約10週でジョギングが可能になり、4ヶ月で軽い運動ができるようになります。 スポーツの完全復帰は約5ヶ月になります。 また、当院でのリハビリは5ヶ月で終了となります。各々の患者さんには担当の理学療法士が付き、随時手術後の状態をチェックし、この一連のリハビリテーションプログラムを指導していきます。
| A: |
アキレス腱を断裂し、これから手術を受けようとしている患者さんにとって、治療の質はもちろん入院の期間というのも重要な因子になると思います。 仕事を持っている場合であればなおさらです。 当院スポーツ整形外科では、基本的に入院期間を手術後4~5日程度としています。 この時期からなら、体重をかけて歩くことができるので、歩行も安定し転倒などの危険性も少ないからです。 |
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