「インフルエンザ」のはなし
「インフルエンザ」とは?
インフルエンザウイルスによる感染症のことです。全国的に、毎年12月~3月頃に流行します。
インフルエンザの経過
症状(発症初期) | 症状(発症後期) |
- ・発熱
- ・全身倦怠感
- ・関節痛・筋肉痛
- ・頭痛
- ・食欲不振 等
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インフルエンザウイルスに感染してもすぐに症状は出ません。1~3日間の潜伏期間(症状は出ないが、感染した後、体内でウイルスが増えてきている状態)を経た後に、発熱、倦怠感などの症状が出現します。
発症直後にはインフルエンザ迅速検査を行っても陽性となりづらく、またこの検査は、本当にインフルエンザに感染していても、必ず陽性になるわけではありません。逆に、検査陰性であっても、インフルエンザに感染していないとは言い切れません。流行期にはインフルエンザ陽性者との接触があった場合に、発熱・咽頭痛・関節痛といったインフルエンザ様症状を呈して受診された場合、医師の判断により検査が陰性でもインフルエンザと臨床診断することがあります。
インフルエンザであった場合、症状の出現直後に受診しても診断がつかないことがありますので、非常に重篤な状態でなければ、症状出現の翌日を目安に受診してみてはいかがでしょうか。症状の強さ、持続期間は個人差がありますが、発症より4~5日前後で軽快傾向となることが多いです。
治療は、解熱薬などによる対症療法が中心です。抗インフルエンザ薬による治療は65歳以上の高齢者、重症化の恐れのある基礎疾患のある方が対象となります。ただし、発症より2日以内に治療を開始しなければ、効果が得られないことがありますので御注意下さい。
重症化の恐れのある基礎疾患・状態
- ・慢性心疾患(心不全など)
- ・慢性呼吸器疾患(気管支喘息, 慢性閉塞性肺疾患:COPD など)
- ・代謝性疾患(糖尿病など)
- ・腎機能障害(透析中など)
- ・癌
- ・免疫抑制薬使用中
- ・妊婦
若年健常者においては、発症早期(少なくとも発症より2日以内)の抗インフルエンザ薬投与により、有症状期間の短縮が期待できますが、症状の強さを軽減したり、重症化を予防する効果は認めないと言われております。周囲に感染を拡げないために、自宅で安静に療養することが重要です。
市販の解熱薬にて療養する場合は、アセトアミノフェンの使用をお勧めします。
また、インフルエンザ等のウイルス性疾患には抗菌薬(抗生物質)は効きません。副作用を含めて、むしろ害になることもありますので、使用にあたっては、よく医師と御相談下さい。
「インフルエンザ」にならないためにはどうしたらよい?
インフルエンザは、咳などによる「飛沫感染」、ウイルスに触れた手などで目や口などの粘膜を触れた際に感染する「接触感染」によってうつります。
インフルエンザ感染者は、周囲に感染を拡げないために、咳がある場合にはマスクを着用し、マスクがなければ手ではなく、袖(腕)で咳を押さえることを注意しましょう(咳エチケット)。
またウイルスがついた手からも感染のリスクがありますので、手をしっかり洗いましょう!
手を洗う際は、アルコール性手指消毒薬も便利です。インフルエンザにかかっていない方も、しっかりと手を洗いましょう!
御家族がインフルエンザにかかってしまった場合は、マスク着用、手指衛生を行い、十分気をつけましょう。インフルエンザは症状が軽快傾向であっても、発症1日前~発症後5日目くらいまで、周囲の方に感染させてしまうことがありますので、この期間は特に御注意下さい。
また、インフルエンザの発症を予防したり、重症化を防ぐために、積極的にインフルエンザワクチンを打ちましょう。インフルエンザワクチンは、毎年、流行が予測されるインフルエンザウイルスの型により内容が異なるため、流行の2週間前(10月末~11月頃)に1回接種をすることをお勧めします。
ワクチンの効果は、接種より2週間~5か月後くらいまで持続します。インフルエンザワクチンの接種については、お近くの開業医、かかりつけ医へ御相談下さい。
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