2013年(平成25年)4月1日より、当院心臓血管外科に北里大学心臓血管外科学教室より心臓血管外科チームが常勤として赴任いたしました。同年7月より心臓手術を開始し、現在に至るまで小児先天性心疾患や補助人工心臓植込み術、ロボット手術などの高度先進医療を除く多くの手術を行ってきました。2021年(令和3年)4月からはチームが新しくなり、現在は心臓血管外科 指導医1名と専門医1名の体制で診療を行っています。大動脈瘤に対するステントグラフト治療や、下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術(レーザー治療)も行っています。
関東労災病院では「働く人と地域のために患者さん中心の最善の医療を実施します」を理念に掲げ、患者さん中心の最善の医療の実施、働く人に対する総合的な医療の実施、地域における救急・急性期医療の実施を目指して日々精進しています。心臓血管外科では、当センターの循環器内科で検査を受けて手術が必要と診断された方はもちろん、他の医療機関で心血管の手術を勧められた方も積極的に受け入れています。
当院が属する二次医療圏である川崎市南部医療圏において人口は増加傾向で、中でも武蔵小杉を擁する中原区の人口は最大です。しかし今後の人口動態予測では総人口のピーク時期よりも、生産年齢人口のピークのほうが10数年も早く訪れます。このような背景から心臓疾患や動脈硬化性疾患の患者さんが一層増加するものと思われ、当科の果たすべき役割はますます大きくなると考えています。
当院の心臓血管外科の歴史は決して長くはありませんが、今までに培ってきたネットワークをさらに広げ、大学病院をはじめ地域の病院・クリニックとの新たな連携も大切にしながら、個々の患者さんにとって最適な治療方法を考えていきます。診療内容や治療法についてわからないことや疑問に思われたことは、どうぞご遠慮なくお尋ねください。
また当科は診療と同時に将来を担う若い医師の教育や研修にも携わっています。患者さんやご家族の方にも研修へのご理解とご協力を頂けますようにお願い申し上げます。
当科で行なう主な手術は下記の通りです。
ステントグラフト内挿術が適応になる患者さんには、低侵襲な当術式を選択します。この手術は開胸や開腹することなく太ももの付け根の大腿動脈よりカテーテルを挿入して、ステントグラフトを大動脈内に留置する手術です。太ももの付け根に数センチの創ができるだけなので体への負担も最小限になり、約1週間で退院できます。また適応のある患者さんには、皮膚を切開しないで治療を行う「経皮的ステントグラフト内挿術」も行っています。
ステントグラフト内挿術の適応とは判断されなかった患者さんに対しては、できるだけ小さな創で人工血管置換手術を行なっています。
患者さんに対してはできるだけ低侵襲で、しかも確実に必要なバイパスを行なうよう心がけています。
個々の患者さんの状態に合わせ、これら3つのうち最適な方法を選択します。
大動脈弁狭窄症や閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症などについては人工弁置換術を行い、患者さんの状態に合わせて生体弁または機械弁のどちらかを選択します。僧帽弁閉鎖不全症に対しては、自己弁を可及的に温存した弁形成術を優先し、人工弁置換術も必要に応じて行っています。また三尖弁閉鎖不全症に対する弁輪形成術も行っています。
経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI手術)を希望される患者さんには、適応の有無を慎重に判断したうえで実施施設へご紹介いたします。
心房細動という不整脈に対する手術として一般的なメイズ手術、肺静脈隔離術などを行っています。また左心房内の血栓形成によって脳梗塞などの血栓塞栓症を合併しうるため、主な血栓形成部位である左心耳の予防的切除術や閉鎖術なども行っています。
2016年8月より下肢静脈瘤に対して血管内焼灼術(レーザー治療)を開始しました。従来機種より熱傷などの合併症発生が少ないとされる、波長1470nmの医療用ガリウム砒素半導体レーザーを使用しています。
麻酔科医師の協力の元に麻酔薬を使用し、手術中の患者さんの負担が少なくなるようにしています。また両側に静脈瘤がある患者さんも、1回の手術で治療が終わるよう治療しています。解剖学的にレーザー治療が困難な患者さんには、以前から行なってきた静脈抜去術(ストリッピング手術)も行ないます。
手術を希望されない場合でも、弾性ストッキングを使用した適切な圧迫療法をご提案します。
循環器内科医と十分に検討し、個々の患者さんの病態により最良の術式を検討します。カテーテル治療とバイパス手術を組み合わせたハイブリット治療も行なっています。
心臓手術43例 | ||
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弁膜症手術 | 大動脈弁置換術 | 9例 |
僧帽弁手術 | 14例 | |
大動脈基部手術 | 1例 | |
冠動脈バイパス術 | 人工心肺使用 | 10例 |
人工心肺非使用 | 4例 | |
その他心臓手術 | 収縮性心膜炎手術 | 1例 |
心臓腫瘍摘出 | 1例 | |
心筋梗塞後心破裂修復 | 1例 | |
左室内血栓摘出 | 1例 | |
心房中隔欠損閉鎖術 | 1例 | |
ステントグラフト内挿術20例 | ||
胸部 | 16例 | |
腹部 | 4例 | |
末梢血管手術24例 | ||
腹部大動脈人工血管置換術 | 5例 | |
下肢動脈バイパス術 | 6例 | |
急性動脈閉塞手術 | 4例 | |
血栓内膜剥離術 | 3例 | |
動脈形成術 | 6例 | |
下肢静脈瘤手術26例 | ||
静脈レーザー | 24例 | |
瘤切除術 | 2例 |
部長
田中 佑貴
たなか ゆうき
専門分野 | 心臓血管外科 |
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資格 | 日本外科学会 専門医 日本心臓血管外科学会 専門医・ 指導医 胸部・腹部ステントグラフト 実施医・指導医 静脈レーザー 実施医 浅大腿動脈ステントグラフト 実施医 植込み型除細動器 - ペーシングによる心不全治療 認定医 |
卒業年 | 2006年 |
中村 優飛
なかむら ゆうひ
専門分野 | 心臓血管外科一般、腹部大動脈ステントグラフト治療 |
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資格 | 日本外科学会外科 専門医 腹部ステントグラフト実施医・ 指導医 胸部ステントグラフト実施医 緩和ケア研修 修了 ACLSコース 修了 |
川内 基裕
かわうち もとひろ
専門分野 | 心臓外科一般 |
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資格 | 日本心臓リハビリテーション学会 心臓リハビリテーション 指導医 日本外科学会 指導医 日本胸郭外科学会 指導医・ 評議員 日本心臓血管外科学会 専門医・評議員 日本呼吸器外科学会 特別会員・評議員 日本外科系連合学会 評議員 日本体育協会スポーツドクター 日本心臓病学会 FJCC (特別正会員) 産業医 (日本医師会) |
卒業年 | 1978年 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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新患・再診 | 休診 | 中村 (静脈瘤外来) |
休診 | 休診 | 田中 |
内科系
外科系
その他
交通アクセス
最寄駅
東急東横線・目黒線 元住吉駅 徒歩7分
住所
〒211-8510 神奈川県川崎市中原区木月住吉町1-1
バス
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JR川崎駅から約30分
JR新川崎駅から約20分
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